出産~告知まで 5
今度は、夫婦が逆転。
こうくんを抱いて、涙する夫を、「大丈夫だよ。こうくんがダウン症だったとしても大丈夫。大事に育てていこう。」と声をかける日々。
そして告知の日を、明日に控えた夜中。
ミルクを飲ませたあと、鏡に写った自分とこうくんを見て
「顔つきは、特徴的じゃないけれど、きっとダウン症で間違いない。低緊張で、反射も弱い。この子がダウン症であれば、すべてのつじつまが合う。」そう思ったのを、今でも覚えてます。
心臓の穴は、手術で塞げば治る。じゃあ、ダウン症は?
「ダウン症は、特徴的なところがあるけど、病気じゃないから。」と言った、産婦人科の医師の言葉が、ただ意味もなく、頭に浮かんでは、消えていきました。
病院に着くまでの車の中で、
「この景色、きっと忘れないね。」と夫婦で言葉を交わしました。
薄曇りの高速道路。
暑いのか寒いのか何も感じなかった時間は、この日を最後に、消えていきます。
今思うと告知までの時間が、一番長く辛く感じられた時間でした。